P-C-F Instruments
“post consumer folklore instruments”
消費時代の後の民族音楽
はるか昔から、地球上の様々な民族が奏でる音は、その土地で手に入るものから生まれてきました。
竹、瓢箪、動物の骨、金属片、木、石、ペルーの運搬用木箱はカホンになり、トリニダードでは石油のドラム缶からスティールパンが生まれました。
自転車スポークから作られるムビラのフォーク、シタールの牛骨のジャワリ、ZEVはジャンクヤードのメタルスクラップを集めて独自の原始音楽のようなものを演奏し、ある友人はカシオトーンをサーキットベンドしてプロトモジュラーシステムのようなものを作り、アフリカの若者はガラケーから超人的身体感覚そのままのビートを産み出します。
今すぐそこにあるモノからその時空間に相応しい音を引き出すことは、人類が音と向き合う基本モードでもあり、世界各地でプリミティブな行為として起こったそれは民族音楽と呼ばれてきました。
では、いまのこの状況における民族音楽というものを考えた時に、最も身近に手に入る、面白そう、良い音が引き出せそうなものはどこにあるかと考えると、自分などは、捨てられたものの中に見つけることが多いです。
工業製品、量産品は均一を目指して複製を経て生み出されます。大量生産の時代。
その後使われてやがて捨てられた量産品が、固有の時間と状況を経ることである種のオーラが宿り、希少で独特な存在として際立ってくることがあります。
新品の時には何も物申さなかったものが、創造のモチベーションを刺激するメッセージを発しているように感じることもあります。
Post-Consumer Folkrole Instruments(=PCF instruments)と名付けた今回のシリーズでは、
身の回りにある捨てられたものから、こういったオーラを嗅ぎ分けたり、化ける可能性を見つけたり、賢く生まれ変わらせたりしながら、この時代のインターメディアな雑食性や不定位性を基本に、今におけるプリミティブな楽器の発展を探るという試みです。
最初のアイテムはハーモニカ
工業的に大量生産され、その後大量に廃棄されそこらじゅうに溢れて見捨てられている量産工業製品楽器を、リード一本一本手作業で調律して甦らせる試みです。
スケールはインスタントな大量生産の真逆の要素として、インド古典の様々なラーガを採用しようと思います。
ラーガはさまざまなスケールそれぞれに、固有の時間帯、季節、感情を持ち、音の昇降や揺れなどに厳密なルールがあるなど、どこでも便利に使える標準音階とは正反対の発想で成り立っている、独自の発展と歴史、宇宙観を持つスケールです。
いわゆる”気をつけ・礼・着席”そのもののようなハーモニカサウンドを一本一本弁を削って独自の宇宙観へとリコードしていくという行為に惹かれています。
このエアリード楽器シリーズは、今後アコーディオン、オルガン、ハルモニウムへと発展していくシリーズになればと。
Post-Consumer Folklore Instrumentsでは、この時代の民族音楽というものを思いながら、その時々の出会いをもとに色々なリリースを偶発的に行なっていく予定です。


